赤面症とあがり症の違い
多くの人が赤面症をあがり症の一種だと勘違いしています。
心療カウンセラーの方でも混同している方も少なくありません。
確かに人前でドキドキして汗をかき、うまく話せなくなるような「あがり症」の症状の一つとして「赤面」したり「震え」たりすることもありますので、混同してしまうのもよくわかります。
しかし実は赤面症とあがり症は根本的に違うのです。
結論から言うと、赤面症はあがり症の一種ではないのです。
どちらかというと対人恐怖症に近い症状なのです。
ではあがり症と赤面症の根本的な違いとは一体何なのでしょうか?
赤面症とあがり症の決定的な違いとは
赤面する場面で紹介しました以下の項目を再度ご覧ください。
- 他人の前で発表をする、演技、演奏、競争する。
- よく知らない相手と話をする、異性と会話を交わす。
- 他人に何かを要求する、自己主張する。
- 他人に見られながら日常的な行為をする。
この4つの項目であがり症に当てはまるのはどれでしょうか?
おそらく一番の典型的なあがり症は1番の「他人の前で発表をする…」ではないでしょうか。
もちろんあがり症の人の中にでも異性と話をすることが苦手だったり、自己主張が苦手だったりする人もいます。
しかし「あがる」場面の典型は
やはり「人前で話をする場面」なのです。
実はこの4つの項目
- 他人の前で発表をする、演技、演奏、競争する。
- よく知らない相手と話をする、異性と会話を交わす。
- 他人に何かを要求する、自己主張する。
- 他人に見られながら日常的な行為をする。
上から下に向かうほど症状が重くなっているのです。
4番目の他人に見られながら日常的な行為をすることに抵抗がある方は、もはやあがり症ではなく「恐怖症」の部類に入るのです。
例えば、人に聞かれる状況で電話をすることに抵抗がある人は
単なるあがり症ではなく、恐怖症の傾向が強いと思われます。
ですから簡単に言ってしまえば、
あがり症は恐怖症の初歩の段階ということになります。
特に人前で発表や演技する機会がない日常生活においてはあがり症の人が不安になることは少ないのです。
しかし赤面症や赤面恐怖症では、日常生活のあらゆる場面で不安や恐怖が襲ってきます。
ですから会話教室に通い人前でうまく話せるスキルを身につけても赤面症を克服できる訳ではないのです。
あがる相手と赤面する相手
また、あがり症と赤面症の違いはその相手を比較するとよくわかります。
「赤面しやすい相手」のページでもご紹介しましたが、赤面する相手の代表例は以下になります。
- 上司、先輩(特に実力や権威のある人)
- 部下、後輩(特に実力のある人、はっきり物を言う人)
- 友人(特に自己主張が強い人、自分の苦手なタイプ)
- 友人(自分の話題、好きな人の話題、苦手な話題の時など)
- 好きな人、好みのタイプ
- 家族(会話の話題が異性の時など)
- 店員(美容師、サイズ確認、売り場を尋ねる時など)
- 何でもない人(カン違いされる状況などで)
ではあがり症の人にとってこれらの人はあがる対象なのか、それぞれ見てみましょう。
まず【上司、先輩(特に実力や権威のある人)】です。
これはあがる相手になるかもしれません。
上司や先輩に報告などをするときにドキドキして汗をかいてしまう人も多いと思います。
次に【部下、後輩、友人】
人によっては苦手意識はあるかもしれませんが、友人にあがる人は少ないのではないでしょうか。
【好きな人、好みのタイプ】
これはあがる対象になりますよね。好きな人の前だとドキドキしてシドロモドロになる人も多いですから。
【家族】
これはありえません。
あがり症の人が家族の前であがることはないと思います。
発表会などで家族が見ていて、いつも以上に緊張してしまうことはあるかもしれませんが、そのあがりの直接的な原因は家族ではありません。
【店員】
これもあがり症の人だからと言って、店員に質問ができないという人はあまりいないと思います。
最後に【何でもない人(カン違いされる状況などで)】です。
これは間違いなくあがり症の人には関係がありません。
赤面症の人にのみ見られる症状です。
例えば私は以前、毎週会社に来る生命保険のオバちゃんに赤面していました。オバちゃんというかおばあちゃんくらいの歳の方でした。もちろん恋愛感情はゼロでした。なのに必ず赤面していたのです。
他にも「好きでもない友人や同僚」、「子ども」、「若い異性」と言った何の関係性もない相手に理由もなく赤面してしまうという方も多く見受けられます。
このようにあがり症の人があがる相手はあくまでも環境によります。
報告や発表をする場面が緊張を生み出しているのです。
このように一見似たように思える「あがり症」と「赤面症」ですが、その性質はまったく異なるのです。
もしこれらの説明が自分に思い当たるのでしたら、おそらくあなたは単なるあがり症ではなく、赤面症なのではないでしょうか。
その場合には話し方教室などでうたわれている「赤面」とあなたの抱えている「赤面」が全く別のものだと理解してください。
そして赤面症を治すためには、赤面症に適した対策をとることが大切です。